StarkExchangeとは何か?
StarkExchangeは、カウンターパーティーリスクとフロントランニング問題を迂回した上で、自身が管理しているウォレットからCEXの流動性の恩恵を得ることができる、StarkWare社の新しいプロダクトです。
イスラエルを拠点とするスタートアップStarkWareと0xの共同開発によって開発されているStarkDEXについてはこちらの記事で説明しています。今回はそのStarkWare社がStarkExchangeというプロダクトを発表しているため、こちらの記事で説明したいと思います。
StarkDEXについての記事はこちらからご覧ください。
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StarkExchangeとは
CEX(中央集権型取引所)にはカウンターパーティーリスク(破綻による資金の凍結、紛失)、DEX(分散型取引所)には流動性の問題とガスコストの問題がありました。そして、DEXにおけるスケーリング問題とガスコストの問題を解決するために提案されたプロジェクトがStarkDEXでした。
今回のStarkExchangeは、CEX(中央集権型取引所)におけるカウンターパーティリスクを解決するために提案されました。
以下の表をご覧いただくと理解が深まります。
CEXにはその利便性と流動性の高さから多くのユーザーが資産を預けています。それは、資産の所有権を表す秘密鍵を自身で管理せず取引所を信用して管理を任せていることを意味します。この管理方法の問題によって国内でハッキング事件が発生したことは記憶に新しい出来事です。現状として、大事な資産を自身のウォレットで秘密鍵と共に管理しているユーザーでさえも、CEXの流動性の恩恵を受けるためには、売買時に資産をCEXに送る必要があり、一時的にカウンターパーティーリスクが発生します。
StarkExchangeは、自身が管理しているウォレットからCEXの流動性の恩恵を得ることができ、StarkWareはこれをSC(Self Cutodial)と呼んでいます。わざわざCEXに資産を送ることなしに好きな価格で売買を実現することができるというのは大きな変化です。
さらに、StarkExchangeを使用するとチェーン同士に互換性がなくてもCEXが取り扱っている仮想通貨同士であれば、カウンターパーティーリスクなしにトレードが実現してしまう点、DEXで問題視されているフロントランニング問題(攻撃者が被攻撃者のオーダーを先回りして自身のオーダーを処理させることで、被攻撃者を不利なレートで取引させる問題)に対する懸念がない点など大きなメリットがあります。
ここで1つの疑問が生まれます。
- StarkExchangeがあればStarkDEXは不要なのでは?
結論を言うとStarkDEXは不要ではありません。これについてはCoinPicks Labにて解説したいと思います。
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StarkExchangeの仕組み
StarkExchangeを利用した取引の仕組みについて以下で説明します。
- Aliceは、StarkExchangeを使用してETH / USD注文を行います(USDでETHを購入)。
- CEXは、USDをUSDCに変換して、ETH / USDCという取引ペアを発生させます(CEXがUSDCを持っていると仮定します)。
- Bobは、自身のウォレットからETH / USDCに対する取引を利用することができます。
このようにCEXは、ユーザーの資産を管理するコストやリスクなしに仲介役として流動性を提供することができます。そして、CEXは法定通貨との関連性が高いため、今後そのハブとして機能することでSC(Self Cutodial)に大きな流動性をもたらすとStarkWareは述べています。
StarkWareが想像するCEXの将来の役割として以下であると述べています。
- マーケティングと顧客獲得
- KYC / AMLサービス
- カストディとSC取引で共有される流動性
- MakerとTakerのマッチング
今後トークンエコノミーによる経済圏が主流となった場合、既存のCEXは淘汰と統合が進むのではないかと考えています。生き残るためには、既存のバイアスを壊し、現在獲得している流動性を糧に市場で新たなポジョン取りをしていく必要があると感じます。
Reference