NFTの規制ガイドラインと個人的な見解
金融庁のパブリックコメントに対する回答の中からNFTに関する部分をピックアップしてお伝えします。
CoinPicka Labでは、BitcoinやEthereum、時事情報に焦点を絞り毎週金曜日レポートを配信しています。
NFTの規制ガイドラインについて
金融庁は、2019年9月3日にNFTは仮想通貨に当たらないとの考え方を示しています。以下に重要なパブリックコメントに対する金融庁の回答を記載します。
- ブロックチェーンに記録されたトレーディングカードやゲーム内アイテム等は、1号仮想通貨と相互に交換できる場合であっても、基本的には1号仮想通貨のような決済手段等の経済的機能を有していないと考えられますので、2号仮想通貨には該当しないと考えられます。
- 現時点において施行されていない改正法の内容を反映したものではありません。〔中略〕 改正法の施行(平成32年(2020年)4月1日)までに、改めて、同法に対応した事務ガイドライン改正を行うことを予定しております。
つまり、決済手段を持たないNFTであれば、BitcoinやEthereumとの交換ができたとしても仮想通貨には該当しないということです。但し、流動性の高い取引所が主体となって「仮想通貨以外」の金融商品を取り扱うことは、ユーザー保護の観点から難しいといえます。逆に、NFTの売買に特化した新たなマーケットプレイスが登場する可能性があります。例として、株式会社メタップスアルファがローンチしたmiimeです。このようなマーケットプレイスが市場にどのようなイノベーションを起こすのか以下に記載します。
1.スマートコントラクトによる安心を最大化したマーケットプレイスはユーザーの売買における心理的障壁を下げる
→ 決済及びNFTの移転にスマートコントラクトを使用することで、お互いの信用コストを不要にします。信用コストを不要にすることは、ユーザーの心理的障壁を無くし、P2Pマーケットにおける流動性の向上に貢献します。これはP2P(To C)マーケットプレイスにおいて大きな役割を果たします。
2.マーケットプレイスの誕生は、現実世界のトークン化を加速し、市場全体における流動性を高める
→ NFTを売買するためのマーケットプレイスが誕生することで、価値のトークン化が進み、市場の流動性が上がります。市場の流動性の向上は、経済格差を埋める働きを促し経済を好転させます。面白い例としてシェアリングエコノミー市場があります。シェアリングエコノミーによって、今まで埋もれていた「モノ」に新たな付加価値をつけました。これは、「モノ」のマーケットプレイスがあってこその付加価値になります。Airbnbは、この市場におけるイノベーションの象徴といえます。さらに、価値のトークン化によるNFTマーケットとシェアリングエコノミーには相乗効果があると考えることができます。
3.マーケットプレイスの誕生は、NFTに適正価格を作る
→ マーケットプレイスの誕生によって、市場に流動性が生まれると、NFTに対する需要と供給からなる価値に適正が生まれ、価値あるものはより価値が認められるようになります。NFTのトレーサビリティ可能な性質とも相性が良いといえます。