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Ethereum2.0(イーサリアム 2.0)に関する有識者様の見解

今回は「Ethereum2.0に関する有識者様の見解」というお題に対して、界隈に精通した有識者様から様々な意見を含むコメントを頂きたいと思います。Ethereum2.0についてのコメントといっても、カバー範囲は広く、どの観点から見るかによって意見も異なると思います。そこで今回は、Ethereum2.0と有識者様自身がカバーしている範囲の知見を織り交ぜながら、今後の可能性について少しでもイメージを膨らます助長となれば、この記事の目的が果たされたと言えます。

これより順番に有識者様のコメントを公開していきますのでご覧ください。

疑問や質問等ございましたらお気軽にコメントお待ちしております。頂いた疑問や質問等は、こちらの記事に追記させて頂き随時アップデートしていきたいと思います。

nakajo

Ethereum2.0の特にpahse1~phase2で実装される予定である、Account AbstractionやeWASM、crosslinkなどがもたらす幅広い可用性に期待しています。Account Abstractionで可能となる、naitiveなmultisig対応や、署名検証アルゴリズムの切り替え、それからmixing等が実装可能となることによるプライバシーの向上など、幅広い可能性をもたらすものになります。eWASMにおいては、SolidityやVyperなどの専用に用意された言語ではなく、現行存在している言語をサポート(今現在ではCとRustのみのサポートとはなっているが)することにより、自分が慣れている言語でスマートコントラクトの開発が可能になるという、開発のし易さの向上などが期待できます。しかし、その反面shardingによるchainの分散されたデータアクセスの複雑さ、また既存の256bit wordから64bit wordのアーキテクチャ変更による歪みなどを考えると、Dapps開発者はより複雑なバックボーン(shardingとcrosslinkなどの概念)の知識を必要とするかもしれないこと、また、今まで培ってきたプラクティスの断絶(address値をそのまま配列のindexとしては扱えなくなるなどの変化)の可能性もあり、それらの複雑さをうまく緩和できない場合は、Dapps開発者離れが起きるかもしれません。EthereumはDappsのためのプラットフォームという側面もその価値として重要な要素なので、やはりDappsの開発し易さ、およびエンドユーザのDappsへのオンボーディングの敷居を下げること、この2つを達成することも重要だと思います。

これらDappsプラットフォームとしての側面についての議論が今後どのように展開されていくのかについては引き続き注目していきたいと思っています。

渡辺創太

Ethereum2.0の予測、その先を考える為に、技術の進化同様、お金の流れが大事だと考えています。そういった意味でEthereum Foundationが5/21に公開したブログ記事(Ethereum Foundation Spring 2019 Update)は必見です。この中ではFoundationの保有する資産と次の1年の配分が明記されています。Ethereum Foundationは全体の0.6%のEther(64万Ether 約174億円 5月現在)を保有しており、その内、約30億円を次の1年の予算としています。Ethereum2.0の文脈で言うと、約30億円の内、約19億円が”Building the Ethereum of Tomorrow”に割り当てられています。具体的には、State channels & Plasma, eWASM, Smart contract languages, Formal verification,  ZeroKnowledge Proofなどの技術が挙げられており、個人的に注目しているのはこの中でもPlasmaです。Plasmaの子チェーンをSubstrateで実装するという試みを行っています。SubstrateのチェーンはPolkadotとも相性がいいのでEthereum、Polkadotに限らず、将来的に統合していくエコシステムそれ自体に注目しています。(ここに挙げられていないものだと99% Fault Tolerant Consensusは社内で議論していたりします。)

sg 様

2017年8月ごろにShardingの議論がethresear.chでちらほら見られるようになり、私は2017年9月ごろにPlasmaWPの翻訳を始め、2018年1月にMinimal Viable PlasmaがVitalikらにより発表されている関係から、ShardingとPlasmaがどのように共存するのかという問いは兼ねてからのテーマでした。基本的にPlasmaはトークンmintのTx圧縮ができないため、L1であるShardingにコントラクトのmint部分をくくり出すことになります。15tpsを14000tps(State Shardingなし)に、blocktime 15secを8secにするということで、オペレーターがPlasmaを維持するためのcommitmentコントラクト実行コストが安価になるため、いよいよTx実行コストがこれまでのWebサービスにおける決済API実行コストと遜色ない領域まで来たなという感じがします。end userのdeposit/exit/challengeコストも大幅に下がりますし、Shardingが本格的に利用可能になる前後でPlasmaの環境は変わらないので、良い繋ぎとして機能するかなと考えています。Plasmaはあくまで本質的にはdappsのデザインパターンなので、いい住み分けになっていると思います。巷ではDEX Shardのような単一アプリケーションのためのShard利用なども焦点が当たっておりますが、Plasma Groupと共同で開発しているPredicates周辺開発環境や設計論が整ってくると、ShardにPlasmaをぶら下げるほうが効率的かつ簡易という状況になるように開発を進めていければと思います。

syuhei 

Ethereumの良さは、レイヤー1で多くのことができることによるabstraction(抽象化)にあると思っています。私が普段行っているPlasmaの研究と実装の中でも、大いにその力を感じます。トラストレスなコミットメントチェーンであるPlasmaが実現できるのも、その抽象化を可能にするL1の表現力がゆえだと思います。まさに今までのEthereumは大きな実験台であったように感じます。そしてその表現力がゆえに、レイヤー2であるPlasmaの仕様の一般化にもかなりの時間がかかっており、その分大きなスケーラビリティと拡張性の恩恵を、レイヤー2でも受けられるようになります。一方で複雑なスマートコントラクトが記述できるethereumでも、L1のスケーラビリティの観点から一定の制限があったと思っています、そしてそれは例えばPlasmaのexit-gameの複雑度に対する制約などにもつながります。Ethereum2.0によって、さらに多くのことができるようになると考えると、ある意味恐ろしさを感じます。と同時にとても楽しみです。

ふーさん

Ethereum2.0となっていますがローンチ当初よりあるコンセプトです。信頼性の高いPoWチェーンからスタートし技術検証とコミュニティの拡大を図ってから蓄積したコミュニティ資産でレバレッジをかけ、需要に合わせて絶妙なタイミングでPoSへの移行を狙ったのだとすると、とても用意周到なロードマップだと思います。プラットフォームに完成などないですからね。

スマートコントラクトプラットフォームとしてはオンチェーンスケールの為にネットワークの並列処理が必要でした。オフチェーンに処理を流すこともできますがブロックチェーンの社会実装が進むにつれ処理をオフチェーン(Plsama,statechannel)にどれだけ回しても戻す際に詰まりが起きます。オンチェーンとオフチェーンのバランスが重要です。そこでシャーディングが必要だったと理解してます。シャーディングは1%攻撃を避けられない為にPoWの実装は難しくPoSでの実装になったのではないでしょうか。もちろん、PoSにもLong range attackやNothing at stakeなどの弱点があります。更にはネットワーク全体をシームレスにする為にクロスシャードトランザクションとゆう難題があります。Phase0で実装されるBeacon Chain(PoS)は前者のPoSの弱点をひとまず解決しました。そしてPhase2の実装が終われば一区切りだと思っています。この段階ではBeaconchainがメインチェーンでshard chainはサイドチェーンの様な構造となり巨大ネットワークのオンチェーン並列処理を実現するのではないでしょうか。注目しているのはPhase2で実装予定のeWASMやaccount abstruction、Storage rentです。UXの改善とネットワークのスケーラビリティのさらなる改善ですね。スケジュールのイメージはPhase0でPoS移行、Phase1でシャード構造の実装、Phase2でShard chainの実装といった感じです。

zigen

ブロックチェーンの設計はどれも簡単には理解できないほどに複雑です。複雑なプロトコルは, プロトコル自体にも実装自体にもバグが入り込みやすくなります。2019年5月現在, Phase 0におけるbeacon chainに関わる仕様はおおよそ固まってきました。Phase 0におけるbeacon chainは主にEthereum1.0で登録されたValidatorの管理を行います。まだShardingの下準備としてPoSのサイドチェーンを作っている段階ですが, すでにかなり複雑になっています。ここにさらにshard chainを実装し, shardごとにアカウントのデータをもたせ, そしてshard間でのデータのやりとりや状態遷移などを行おうとしているわけです。

これらの複雑さはどこからくるのでしょうか?当然, Ethereum2.0が解決しようとしている問題が難しいこと, 解決策が複雑であることが挙げられます。私は, これらに加えて, この複雑さはブロックチェーンがまだ十分に分析されていないからではないかと考えています。いまだにブロックチェーンを囲むコミュニティ間では専門用語は十分に擦り合わされているとはいえず, 各自がそれぞれの用語を用いています。オープンな場で複雑な新しいプロトコルを作り上げていく場として, 今後このプロトコルがどこかで洗練されていくのか, あるいはこのまま実装力で無理やり推し進めていくのか, 各クライアントの実装などを追いつつ可能であれば参加していきたいです。今までも, プロトコルを単純にするためにbeacon chainのcrystallized_stateとactive_stateは単一のstateになりましたし, prysmatic labsは定期的にリファクタリングを行なっていたりします。

また, PoSとFork Choice Ruleが実際に機能するのかという点について気になっています。PoSと一口にいっても様々な種類があり, また様々な利用方法があります。Ethereum2.0におけるPoSはCasper FFGの流用であり, Ethereum1.0チェーンで一定のETHをVRC (Validator Registration Contract) にデポジットすることでValidatorとして登録されます。そうしてValidatorの集合としてCommitteeを形成し, その中からブロックの提案者と検証者を選んで, チェーンが生成されていきます。Fork Choice RuleはLMD GHOSTが現在使われることになっています。そもそもこれらの仕組みが現実の環境の下で動作するのかどうかはやってみないとわかりません。PoSのチェーン自体はいくつかあるものの, 似たような仕組みで, EthereumやBitcoinの規模で使われているものを私はまだ知りません。そういう点では, Ethereum2.0以外にも, ZilliqaやNEAR Protocol, ThunerCore, HarmonyといったShardingやPoSを採用しているプロジェクトにも目が離せません。

まだまだPhase 0のあとにも, Shard chainのデータの存在をどう担保するか, Shard間のコミュニケーションをどのように行うか, ネットワークの帯域幅やストレージの問題など山積みですが, 飽きることはなさそうです。

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今井 涼二

今井 涼二

CoinPicks Admin // CoinPicks Lab Admin // CoinPost専属ライター

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