イーサリアムのトークン設計

indiv Report
Ethereum Token Design

 

Etherの意味

Etherはエーテルやイーサと読みます。

Ethereumの語源はEtherで、神学ではアリストテレス(*1)が提唱した大五元素、物理学では19世紀以前に光を伝える媒質とされたものが元ネタになっています。

*1 アリストテレス:(アリストテレース、古希: Ἀριστοτέλης – Aristotélēs、羅: Aristotelēs、前384年 – 前322年3月7日)は、古代ギリシアの哲学者である。
プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンとともに、しばしば「西洋」最大の哲学者の一人とされ、その多岐にわたる自然研究の業績から「万学の祖」とも呼ばれる。特に動物に関する体系的な研究は古代世界では東西に類を見ない。イスラーム哲学や中世スコラ学、さらには近代哲学・論理学に多大な影響を与えた。また、マケドニア王アレクサンドロス3世(通称アレクサンドロス大王)の家庭教師であったことでも知られる。(wikipediaより)

こういった元ネタについて知っておくと、意外なところで点と点を結ぶきっかけをくれるものです。さらにEtherの語源について付け加えると、エーテルというのは「Ether」のドイツ語読みになっています。

 

Etherの役割

EtherにはマイナーへのインセンティブとEVM(Ethereum Virtual Machine)のガス代としての2つの役割があります。

「結局EtherはBTCと同じように通貨として機能するの?」「それともユーティリティトークンとしての価値しかない?」という疑問があると思うのですが、これについては、現時点で答えるのが難しいと言わざるを得ません。

結局通貨というのは特定のコミュニティ内において、それを通貨として受け取る人がいると通貨として機能するので、今後社会がEtherをどのようなものとみなすかが重要になります。

ただ純粋なプレマインなしのPoWであるビットコインに比べると通貨の三代要素(*2)(価値の保存、価値の尺度、交換の媒体)における、価値の保存と価値の尺度に若干の不安はあります。

価値の保存、価値の尺度、交換の媒体というのは基本的に三位一体でなければ貨幣としての役割は無いと考えております。というのも、価値の保存できなければ尺度を測ることはできず交換することもできない。

また、価値の交換ができなければ保存する意味も価値を測る意味もないということです。そもそもワールドコンピューターとしてのイーサリアムに通貨としての要素を求めることはナンセンスなのかもしれません。

*2 貨幣の三大要素:貨幣とは,通常次の三つの機能を果たすものと定義される。すなわち,(1)決済手段(支払手段)としての機能,(2)価値尺度としての機能,(3)価値貯蔵手段としての機能である。貨幣の決済手段としての機能とは,広く社会で行われるさまざまの経済取引に際し,その取引の決済が貨幣の移転を通じてなされることを意味している。

 

インセティブ

EthereumのセキュリティとEVMの処理はマイナーによって行われています。

Ethereumは企業ではないので、特定の組織がEthereumのネットワークを保守しているわけではありません。

Ethereum Foundationがネットワークを維持しているわけではないので、誰かにその役割を担って貰う必要があります。

そこで「マイニングしてくれたらブロック報酬としてEtherをあげるから、ネットワークにハッシュレートを提供してくれ」という形で、あらゆるマイナーを誘致する仕組みになっています。

我々もGPUやASICがあれば参入できます。
日本国内でもマイニングを行っている人たちはいますね。(収益性は良くないみたいですが)

私の経験上マイニングは、国内国外どちらでマイニングするかによってコストと安全性・透明性のトレードオフが発生すると考えています。

国内であれば電気料金は平均1kwあたり約18円と高めですが、オーナーの目と手が届く位置でマイニングすることが可能です。国外であれば電気料金は1kwあたり約10円や8円(中国)などと、かなり安いが目と手が届きません。もちろん拠点を海外にうつせば別ですがハードルは高いでしょう。

EthereumはPoWで動いているので、セキュリティはハッシュレートに依存します。

EVMを稼働させるためにインセンティブが必要なのは事実なのですが、EVMを動かすだけであれば、大量のハッシュパワーは必要ありません。(各ノードが全てのトランザクションを処理する必要があるので、ハッシュレートが増えたからと行って、処理速度が増加するわけではありません)

なので、ここでのインセンティブは「誰でも参加できるネットワークなのに、強固なセキュリティがある」という状態を実現するために必要です。

停止性問題

次にEtherはEVMのガス代(計算力の費用)としても支払われるのですが、これは「無料だとスパムトランザクションまみれになる」という理由の他に「チューリング完全マシンには停止性問題があるから」という理由があります。

これは適切にコーディングしていないプログラムは自動では止まらず、動き続けてしまい、マシンをクラッシュさせる可能性がある、というものです。

これを回避するのは容易ではないのですが、Ethereumの場合、ガス代としてのEtherがなくなれば、費用不足でプログラムが勝手に止まる仕組みになっているので、ガス代は停止性問題解決のためにも重要なのです。

「EtherじゃなくてERC20トークンで払えば良い」という議論はこの視点が抜け落ちていることが多いです。

ガス代は停止性問題解決この部分はめちゃくちゃ重要です。いまだに「ガス代ってなんのためにあるの?」「GASがないほうがいつでもETH送れて便利じゃない?」という方もいますが、利便性よりもまずは、セキュリティー的欠陥をなくすことが最優先です。

もしGASの必要のないスマートコントラクトが将来出てくると、ターミネーターのスカイネットが現実に誕生する可能性もあってなかなか怖いです。

続きはLabで配信しています。

  • マイニングの仕組み
  • Nakamoto consensus
  • 事実上のASICの受け入れ
  • バリデーションの仕組み
  • Casper
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今井 涼二

今井 涼二

2015年より暗号通貨を追及中。2018年からは大麻産業の動向も同時に追いかけています。CoinPicksでは「仮想通貨の価値」をテーマに一歩踏み込んだ情報を配信していきたいと思います。

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