第9回 国家通貨の発行へ「ベネズエラ編」

さて、第9回目はベネズエラの国家通貨発行について私見たっぷりにお伝えします。
同国で発行されたペトロは、仮想通貨市場で大きく取り上げられ、国家ICO史上最大の知名度を誇ります。
今後ペトロは、どのような経済圏を気づいていくのでしょうか。

 

第9回 国家通貨の発行へ「ベネズエラ編」

 

▼ベネズエラとは…


南アメリカの北部に位置する、人口3,157万人 (2016年データ) の世界最大の石油埋蔵量を誇る国です。
首都はカラカスは、南米最大でベネズエラ国内で最も栄えている一方で、治安は非常に悪く、殺人事件発生率は東京の100倍近く高く、世界でも3本の指に入るほどです。
そんな国を仕切るのは、ニコラス・マドゥロ大統領で、反米意識が強いことで認知されています。

また、ベネズエラは現在ハイパーインフレーション (*1) に陥っており、多くの国民が貧困生活を強いられています。
各国と貿易をするためには外貨が必要で、その基軸が米ドルになっています。
同国では、その基軸の米ドルに固定相場制 (*2) が採用されており決まったレートでの為替交換が行われています。
しかし、闇市場というものが存在しており、固定相場によって定められている交換レートに対して大きな乖離があります。

*1 ハイパーインフレーション:きわめて短い間に物価が急激に高騰する状況を言う。

*2 固定相場制:為替の交換価値が決められている。多くの国は変動相場を採用しており、その時々で為替交換価値が変わる。

価値が下がるから国外国内の借金の返済が難しくなり、お札がどんどん発行されます。
当然お札が大量に発行されれば、1ボリバルあたりの価値はみるみる下落していきます。
このループの結果、ハイパーインフレーションを招いているのです。
さらに、米国からの経済制裁 (*3) も受けており、最終的な矛先は国民に向いています。

このような要因が国民の仮想通貨への需要を生み、政府が国家通貨「ペトロ」の発行に至った経緯になります。

*3 経済制裁:経済の力をもって制裁を加える国家行為である。例えば、輸出入の制限や資金援助の制限がこれに当たります。

 

▼ベネズエラの仮想通貨規制状況


ベネズエラの仮想通貨規制状況は、ペトロ発行と共に大きな変化がありました。
同国最大の取引所といえば南米や米国、中国をターゲットとした “Surbitcoin” です。

同取引所は、2017年の3月2日より銀行口座が凍結されており、ユーザーの出金猶予は1日程しか与えられず、多くの資金が宙に浮いた状態になっているそうです。
事実、公式Facebookのレビュー欄では、多くのユーザーから出金に関する書き込みが殺到していました。
マイニングに関しても、政府お墨付きの警察や国家警備隊が情報を集め機器を没収されたり、電気窃盗やサイバー犯罪の罪で逮捕されたりといった報道もありました。
また、最終的には仮想通貨に関わるWEBサイトまでブロックされる始末です。
このように2017年のビットコインに対する政府の見解は、「ビットコインの主唱者は犯罪者やテロリスト」であったのです。

ところが2018年に入ると仮想通貨に対する国の方向性に変化が訪れます。
変化のきっかけは、2月中旬に発行された、石油に裏付けされた国家仮想通貨「ペトロ」によるものです。

 

▼ペトロとは…


ペトロは、ベネズエラの石油に裏付けされており、1ペトロ当たり60ドル (約6,270円) で1億ペトロ分のICOが行なわれました。
最終的には、127ヵ国の投資家により171,015件の購入が確認され、30億ドル (約3,270億円) を調達したとのことです。

前述したように、現在ベネズエラはハイパーインフレーションと米国からの経済制裁という問題を抱えています。
ペトロは、それら2つの問題を解決するために発行された仮想通貨と言えるでしょう。
この事例が世界の様々な国の前例となる可能性があります。
よって、個別に話を深掘りしていきたいと思います。

 

▼ハイパーインフレーションの終焉


ハイパーインフレーションとは、前述したように驚異的な物価上昇により紙幣の価値が下落していく現象です。
AFP通信によると、2018年5月の前年同月比13,779%の物価上昇が記録され世界一となりました。
去年まで100円で飲めたコーヒーも、今年になると13,799円出さないとコーヒーが飲めないのです。
それでも、政府は経済を良くしようと紙幣を刷り続け、当然紙幣が増えれば紙幣の価値は下がり、同時に物価上昇が進み抜け出すことのできないループに陥ります。

この状況を回避するための応急処置として、今年の3月にデノミネーション (*4) を発表しました。
このデノミによって通貨の価値は1/1000に調整され、新たな通貨として2018年6月4日に発行を予定しています。

*4 デノミネーション:通貨の単位を切り下げる、または切り上げる行為。

デノミネーションによる切り下げによって、去年100円で今年13,799円になってしまったコーヒを約13円で購入できることを意味します。
「物が安く買えるなら、国民も喜ぶし早くやればよかったのに」と考える人もいるかもしれませんが、もちろんデノミネーションにはデメリッットがあります。
通貨の価値を1/1000にして新たな通貨が発行されるということは、高騰した物価の値段は下がり、借金をしている人の借金額を減らすことを意味すると同時に、真面目に貯金していた人たちの貯金額を減らすことになるのです。
あなたは貯金が1000万円あるとします。
デノミネーションによって貯金はわずか10,000円になってしまうのです。
それ以上に根本的な解決にはなっていないため、数年後には同様の事態を招くことになるのです。

では、ペトロの発行はこの無限ループを終わらせてくれるのでしょうか?
結論から言うと可能性はあるということです。

解決するためには、根本的な問題を把握する必要があります。
根本的な問題の説明と解決策に関しましては、オンラインサロンにて説明しています。

 

▼ペトロは経済制裁の回避手段となりえるのか?


トランプ米大統領は2017年8月25日にベネズエラに経済制裁を科す大統領令に署名しました。
米国の金融機関に対し、ベネズエラ国債 (*5) とベネズエラ国営石油会社 (*6) の社債の新規取引を禁じる内容を盛り込み、独裁体制を固めたマドゥロ政権の資金源を断つ狙いがあります。

*5 国債:国家が発行する借金のこと。 発行時に償還期限と利率が定められており、基本的には、購入者はこれに応じた利息を受け取ることができる。

*6 ベネズエラ国営石油会社:ベネズエラ政府の100%出資会社で略称PDVSA。ロシアへ多くの石油を輸出している。

ペトロは、この経済制裁から逃れるための手段にもなっており、米国も米国民に対してペトロの購入を大統領令 (*7) で禁止しています。

*7 大統領令:議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令。 憲法に明確な記述はないが、法律と同等の効力をもつ。

なぜペトロが米国の経済制裁を回避する手段になるのでしょうか?

こちらも前述したように、各国と貿易をするためには外貨が必要で、その基軸が米ドルになっており、多くの外交の中心には米国の存在があります。
その米国がベネズエラに対してドルによる資金供給を絶つことで、輸入に頼っている同国は海外との決済時に支払う外貨準備高の米ドルが枯渇してしまいます。
そうすると満足に輸入ができなくなり国内に物資が入ってきません。
国内の少ない物資を国民同士で取り合いになり、またも物価上昇、インフレーションの原因となってしまいます。

そこで、ニコラス・マドゥロ大統領は、米ドルを介さないペトロを使った直取引を目指しています。
これが実現することで、米国がどれだけ経済制裁を与えてこようが問題を低減できます。
どのようにして問題解決に繋がっていくのかはオンラインサロンにて説明しています。

 

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今井 涼二

今井 涼二

2015年より暗号通貨を追及中。2018年からは大麻産業の動向も同時に追いかけています。CoinPicksでは「仮想通貨の価値」をテーマに一歩踏み込んだ情報を配信していきたいと思います。

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