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暗号資産の分析概要と結果 – Bitcoin(BTC)

調査結果:BTCはスケーラビリティを引き換えに分散性とセキュリティを重視しており、全体的にインセンティブ設計が上手く機能している。また、証券の該当性も極めて低く、その他の暗号資産と比較してBTCは安全な投資対象と言える。


データ執筆日:2019年4月30日

データ更新日:未定

前提:本分析記事は、基本的に他の暗号通貨及びトークン(総称を暗号資産とする)または、その他の手段との比較であり、執筆者の個人の知識を元に記載したものである。記述はあくまで公平性を意識しており、分析対象に何らかの意図は存在していない。また、比較にあたって全てを網羅しているわけではない為、抜け漏れ等は当然存在しているとともに、指摘等いただければ随時更新していくものとする。

プロジェクトの概要

通貨(トークン)名

Bitcoin – BTC

選出理由

各種、暗号資産の指標となるべく基準点としてBitcoinを再調査。

概要

Bitcoinはサトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)を名乗る人物によって投稿された論文に基づき、2009年に運用が開始。Bitcoinシステムによるトランザクション(取引記録・移転記録)は、Peer to Peer型(P2P)によって仲介者なしで直接的に行われる。トランザクションは、ネットワークに参加しているノード(監視者)及び取引承認者によって取引の正当性が検証され、ブロックチェーンと呼ばれる分散型公開元帳に記録される。これをマイニングと呼び、それに従事するものをマイナー(マイニング従事者)と呼ぶ。

マイニング従事者はトランザクションをブロックチェーンに記録することで、インセンティブとしてマイニング報酬を(BTC)を取得。そのインセンティブは、2019年4月30日現在で12.5BTC(1BTC = 587,083.44円)となっており、約10分に1度インセンティブを得る為に市場では承認者同士の市場競争が発生している。

このようにBitcoinシステムは、ユーザー及びマイニング従事者によって政府や中央銀行などの中央機関を介さず、P2Pネットワーク上で取引が行われるため、取引の仲介手数料が低く抑えられ、迅速に世界中のどこでもだれとでも貨幣取引を行うことを可能にしている。

トークン設計

通貨(トークン)概要

Bitcoinを表わす記号にはBTC、XBT、BitcoinSign.svgがある。補助単位としては、「mBTC(ミリ・ビットコイン)」、「µBTC(マイクロ・ビットコイン)」、「bits (ビット)」「satoshi(サトシ)」等が存在する。また最小単位は、1 satoshi = 0.00000001BTCである。

総発行量:21,000,000 BTC(2019年4月30日)

現在発行量:17,673,213枚(2019年4月30日)

通貨(トークン)用途

用途は「価値の保存、及び移転による価値交換」である。

Bitcoinは、デジタルゴールドとも呼ばれ数多く存在するその他の暗号資産と比較して、流動性が高く最も分散化された暗号資産である。価値の保存先として利用されるBTCは、ユーザーによってその価値は異なる。例えば、アルゼンチンやベネズエラのように自国通貨が不安定な国にとってはBTCの価格の方がより安定しており、中国のように国家の検閲が厳しい国にとってはBTCの方が価値の保存先として安全であると考える。

また、価値交換手段として利用されるBTCも、同様にユーザーによってその価値は異なる。例えば、日本に出稼ぎに来たフィリピン人が、やっとの思いで稼いだ200,000 円を母国の両親に送金するとしよう。セブン銀行では2,000 円の手数料が発生する。BTCの送金手数料は134.90 円(2019年4月22日)と93.2%も費用の削減が可能になる。

しかし、これらの事例は都合の良い部分のみを抜き出して用途としていることに留意する必要がある。過去のBTCの価格変動を見れば大半のユーザーにとっては大きすぎる価格変動であったり、過去の取引手数料を見ればセブン銀行を使用した送金の方が安価に済む場合もある。要するにBTCの「価値の保存、及び移転による価値交換」は世界のユーザーに与えられた、検閲のされない選択肢であるということだ。

価値の源泉

価値の源泉は以下の3つである。

以下の3つのうちどれがかけてもBTCの価値に影響を与える。

  1. 正の行動を誘発するコンセンサスアルゴリズム(Proof of Work)。
  2. プログラムによって定められた発行枚数(21,000,000 BTC)。
  3. コミュニティの多様性。

1.Bitcoinは、Proof of work(以下 PoWとする)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズム(合意システム)を採用しており、ユーザー間取引や価値移転の正当性を確認及び承認してブロックチェーン上に記録する作業のことを言う。承認作業を行うマイナーのインセンティブは、約10分に1度のブロックリワード(報酬)である。インセンティブを得るために多大なコスト(電気代・人件費・ハード費等)を負担しており、承認作業に悪事を働きネットワークを攻撃するには相応のコストが必要になる(*1)。負の行動によって攻撃が失敗すると多大な損失が発生することから、正の行動が誘発されている。この正の行動を誘発する可能性の高さが価値の源泉の1つである。言い換えると非常に堅牢なネットワークが分散的に維持されていると言うことである。

*1 https://www.crypto51.app/

2.暗号資産の発行枚数や上限の有無は、発行者によって発行時に決められる。Bitcoinの場合、Satoshi Nakamotoが2009年に21,000,000 BTCとプログラム上で決定しており、変更にはハードフォークが必要となる。この限られた発行枚数がBitcoinの価値を決定している要因の1つである。現時点でのBitcoinの発行済み枚数は17,673,213 BTC(*2)であり、約10分に1度発行されるBitcoinは、2140年に全総数を発行し終える。発行プログラムは4年に1度半減期を迎え約10分に1度発行されるBitcoinの量が減少していく仕組みとなっている(現在の1ブロック12.5 BTC)。次回の半減期は2020年で1ブロックあたりの発行枚数は6.25 BTCとなる。この限られた発行枚数と半減期によって市場に投入されるBTCの量が減少する仕組み(マイニング従事者による売り圧の減少)が価値の源泉の1つである。

*2 https://www.blockchain.com/ja/charts/total-bitcoins

3.Bitcoinコミュニティは非常の多く存在しており、ほとんどの問題に対してトピックが作成され議論されている。全ての事に共通することとして、イノベーションがキャズムを超えマジョリティー層に浸透させるためにはコミュニティの厚さと多様性が非常に重要になってくる。その証拠に最も流動性の高いBitcoinのプログラムを完全にコピーして生まれた暗号資産は数多く存在するが、Bitcoinと肩を並べることはできていない。どれだけ完全に仕組みやプログラムをコピーしてもコミュニティーまでもコピーすることはできないからである。よってBitcoinのコミュニティーの厚さと多様性は価値の源泉の1つである。

所望の性質

Satoshi Nakamotoは、Bitcoinネットワークを正常に維持するインセンティブの源泉としてBTCをトークン設計に組み込んでいる。基本的にマイニング従事者はBTCを取得するために健全な承認作業を行い、大口保有者は自身が保有するBTCの価値を希釈化させないためにネットワークに貢献するインセンティブが存在する。これらネットワーク参加者の正の行動は、使命感や正義感等ではなく、ただ単に参加者自身にとって最も合理的な選択をした結果である。それにはBTC自体に価値が滞留している必要があり、それは上述した価値の源泉とその他経済的状況によって満たされている。

参加者に対するインセンティブ

インセンティブは正と負が存在しており、参加者は以下に分類することができる。

  1. マイニング従事者
  2. 保有者
  3. 管理者(開発陣)

1.マイニング従事者の正のインセンティブは、ブロック生成によるブロックリワードである。1BTC = 587,083.44 円として1ブロックあたり12.5 BTC受け取ることができる。金額にすると587,083.44 円 * 12.5 = 7,338,543 円となる。ここからコストを差し引いた分がマイニング従事者の正のインセンティブとなる。逆に負のインセンティブとは、Bitcoinネットワークの堅牢なセキュリティに対して攻撃(51%攻撃)を行った際に失敗すると単純にコスト負担が大きいことを指している。crypto51によると、Bitcoinネットワークへの攻撃コストは1時間あたり49,603,778 円も必要であることがわかる。マイニング従事者は攻撃して負のインセンティブを取得するよりも、正のインセンティブを取得する方が合理的であることがわかる。

2.保有者の正のインセンティブは、BTCの価値の上昇によるキャピタルゲインである。コミュニティーの形成に力を入れBTC自体の認知を高めることで市場に浸透し、適した用途によるキャピタルゲインが発生する。CoinMarketCapのALLデータを参照すると(*3)、最も古いデータは2013年4月29日の1BTC = 15,090.35 円である。2019年4月30日の現在値が1BTC = 587,083.44 円なので、約38.9倍のリターンとなる。もちろんBitcoinが市場に誕生したのは2009年であるため、その時からの保有者は巨額のリターンを得ていることになる。参考までに紹介しておこう。New Liberty Standardによりビットコインと法定通貨の交換レートが初めて提示されました。この時のBitcoin価格は、1BTC = 0.07円であった…。逆に負のインセンティブとは、Bitcoinの価値の希釈化であり、基本的には保有者が希釈化を誘発するような行動をするインセンティブはない。

*3 https://coinmarketcap.com/currencies

3.管理者の正のインセンティブは、鉄道ビジネスモデルを想像すると良い。例えば、阪急電鉄の事業モデルが有名であり、鉄道の敷設だけでなく、ターミナル駅での百貨店開業、沿線の住宅開発、郊外の宝塚劇場やホテルなど娯楽産業の開発を行い、輸送客の増加と不動産利益の獲得に成功し相乗効果を生んできた。Bitcoin開発者もまた、同様のインセンティブがある。Bitcoinネットワーク発展及び改善、アップグレードのために尽力することで個人の名前は世界に知れ渡り、様々なビジネスとの相乗効果が生まれ、当然保有しているであろうBTCのキャピタルゲインも得ることができる。だがこれを言うとビットコイナーから反感を買うであろう。何故なら、インセンティブなど考えずBitcoinという魅力に惹きつけられ、ただただ夢中に没頭している方も存在するからである。ただ筆者はそれも1つのインセンティブとして括りたい。いわゆるデール・カーネギーの言う「自己の重要感」が働いでているのである。逆に負のインセンティブとは、Bitcoinの価値の希釈化でありネットワークの衰退であり、基本的には管理者が希釈化を誘発するような行動をするインセンティブはない。

証券への該当性

BTCは証券に該当しない。

Howeyテストには、特定のブロックチェーントークンが「証券」であるかどうかを判定するテストもあり、いくつかのICOプロジェクトはこのテスト結果を公表している。上記結論に至ったテスト結果を下記にて記載する。

最後に、要素1,2,3の各スコアの合計値を算出したうえで、各要素の合計値の最小値を下記表に当てはめた結果、証券の該当性を判断するものとする。

  • 0pt以下:全く類似していない
  • 1~33pt:類似していない
  • 34~66pt:どちらとも言えない
  • 67~99pt:類似している
  • 100pt以上:かなり類似している

要素1:資金を集めているか

1. 新規発行トークンが有料で販売されるか?

◾︎ YES(トークンセールなど)…100pt

◾︎ NO(マイニング、エアドロップなど)…0pt

要素2:共同事業であるか

2.トークンセールのタイミングはいつか?

◾︎ ネットワーク配備前…70pt

◾︎ ネットワークテスト時…60pt

◾︎ ネットワーク稼働時…50pt

◾︎ トークンセールが行われない…0pt

3.トークン保有者が利益を得るために何をする必要があるか?

◾︎ いかなる行動をせずとも利益が均等に配分される…25pt

◾︎ 作業によって得られる利益が変わるマイナス20pt

要素3:収益性があるか

4.トークンがどのような機能を持つか?

◾︎ 従来の証券投資家としての権利が与えられている…100pt

◾︎ トークン保有者が債権者となっている…100pt

◾︎ ネットワーク上での機能を持たない…100pt

◾︎ トークン保有者だけが利用可能な機能を持つ…0pt

5.トークンの利益がブロックチェーン外での行動に依存しているか?

◾︎ YES(トークン価値がブロックチェーン外の第三者の信頼度に依存)…80pt

◾︎ NO(トークンの価値が第三者の努力にあまり依存しない)…0pt

6.トークンセールのタイミングはいつか?

◾︎ ネットワーク配備前..20pt

◾︎ ネットワークテスト時…10pt

◾︎ ネットワーク稼働時…0pt

◾︎ トークンセールが行われない…0pt

7.トークン保有者は決定権を持つか?

◾︎ YES(開発者チームの資金利用に対して決定権を持つ)マイナス20pt

◾︎ YES(ネットワークの重要な決定に対して決定権を持つ)マイナス10pt

◾︎ NO(第三者の意思決定によってネットワークが運営される)…0pt

8.トークンの収益性を強調しているか?

◾︎ YES(「ICO」「投資」などの用語が含まれている)…50pt

◾︎ NO(ネットワークのアクセス権としてトークンを販売する)…0pt

◾︎ NO(トークン保有者が利益を得られる可能性はない)マイナス100pt

結果

  • 要素1:0pt
  • 要素2:0pt
  • 要素3:180pt

総合得点は「0pt」となり、BTCは証券に該当しない。

コンセンサス設計

コンセンサスの方法と仕組み

コンセンサスの方法はProof of Work(PoW)である。

所望の性質

PoWというコンセンサスアルゴリズムを採用することで、公平性と透明性を備えた改竄不可能な取引台帳の形成を所望している。PoWを用いたコンセンサスアルゴリズムは、他のコンセンサスアルゴリズム(PoS、DPoS)と比較して、取引台帳の形成にコストが必要であり、その資源によって初めてBTCが生成される。BTCの生成にコストが不要であれば、公平性と透明性を備えた改竄不可能な取引台帳の形成という所望は満たされないであろう。その理由は、トークン設計と密接に関わりがあり、もう一度読み返して頂くと十二分に理解していただけるであろう。

スケーラビリティー

Bitcoinはスケーラビリティに課題がある。改善策として「LightningNetwork」と呼ばれるオフチェーン処理(ブロックチェーン外の処理)が提案されており、その開発状況は日進月歩である。

課題について説明する。

Bitcoinは、10分に1ブロック生成され1ブロックに含まれるトランザクション数は、約1,500〜約2,500程(*4)である。1ブロックあたりに含まれるトランザクション数に差があるのは、ブロック容量である1.25MBに対してデータのインプット数及びアウトプット数に左右されるからである。他の暗号資産との処理速度の比較ではTPS(トランザクション/秒)による記載が分かりやすいので下記に記載する。

  • Bitcoin:7 / TPS
  • Litecoin:56 / TPS
  • Ripple:1500 / TPS
  • BEAM:17 / TPS

上記からBitcoinの処理速度に課題があることが分かる。Mempool(*5)を確認すると、2018年1月10日にトランザクションの処理待ちが138,487,948件と過去最高記録に到達した。2019年4月30日現在のMempoolが4,087,443件であることから、大幅な処理の遅延が発生していたことが分かる。この課題が議論を呼び過去ハードフォークによってBitcoin cash(BCH)が生まれた。

*4 https://www.blockchain.com/ja/charts/n-transactions-per-block

*5 https://www.blockchain.com/ja/charts/mempool-size?timespan=all

分散性

Bitcoinの分散性はその他の暗号資産と比較して非常に高いと言える。

分散性の度合いは以下の3つから分析する必要がある。

  1. マイニング従事者が保有するハッシュパワー
  2. 保有者
  3. 管理者(開発陣)

1.マイニング従事者が保有するハッシュパワー(マイニングに従事する計算能力)の分散性は、ネットワークの堅牢性に直接影響する。下記画像はBitcoinのマイニング従事者の分布図(*6)である。画像内のUnknownは、名前が不明な複数のハッシュパワーを集めたものであり全体の12.4%を占めているのは分散性に寄与している。この分布図に偏りが出る程に分散性が低いと言える。

*6 https://www.blockchain.com/ja/pools

ブロックチェーン上でXRPやEOSのようなスケーラビリティを確保するには、取引の承認をするマイニング従事者をあらかじめ決めておく必要がある。Bitcoinは約10分という時間の間、取引の承認をする世界中のマイニング従事者同士に競争をさせてブロック承認者を決定している。このことからBitcoinはスケーラビリティを犠牲にすることで、分散性に重きをおいていることが分かる。そして、Bitcoinのスケーラビリティは課題ではあるものの、欠陥ではないことが分かる。

2.特定の保有者に富が集中すると、恣意的な価格操作等の懸念からネットワークに悪影響を及ぼす懸念がある。Bitcoinの保有者アドレス11,872,970個のうち、約10%に占める保有割合は、99.05%になる(*7)。Litecoinの場合、保有者アドレス300,235個のうち、約10%に占める保有割合は、96,69%になる。Dogecoinの場合、保有者アドレス295,173個のうち、約10%に占める保有割合は、98.98%になる。以上の結果から保有者に偏りがあると言える。

*7 https://bitinfocharts.com/top-100-richest-bitcoin-addresses.html

上記画像内の最も保有量の多い4アドレスは下記である。

  • wallet: Bittrex-coldwallet
  • wallet: Bitstamp-coldwallet
  • wallet: Huobi-wallet
  • wallet: Binance-coldwallet

補足:Satoshi Nakamotoはこれよりも多い600,000〜700,000 BTCを保有している可能性をBitMEXが分析記事で発表している。

上位4アドレスとその他の上位アドレスには、取引所のウォレットアドレスが含まれている為、単一ユーザーのものではないことになる。それらを考慮すると全体として分散性は高まることになるが、これは1つの課題であると考えることができる。

3.Bitcoinの開発は分散化されていると言える。

開発は、Bitcoin Core開発者によって行われている。コードのマージ(変更・統合)は、Bitcoin Core開発者のみが可能である。するとこれは中央集権的で分散化されていないのではないかという議論がある。確かに変更自体はBitcoin Coreのみが可能であるが、開発提案は「BIP(Bitcoin Improvement Proposals)」という形で誰でもできるオープンソースソフトウェア(OSS)だと言える。

この提案を元にBitcoinの今後について議論が行われ、参加者の賛成が多く集まることでBitcoin Coreによって改善される。仮に誰でも自由にコードの変更が可能であった場合、それこそネットワークを危険に晒し本末転倒となる。Bitcoin Coreは、ある意味交通整理の役割を担っていると言える。

セキュリティー

Bitcoinのセキュリティは、PoWコンセンサスアルゴリズムによって堅牢に成り立っている。しかし、PoWであるからセキュリティが堅牢なのではない。その証拠にMonaCoinやBitcoin GoldといったPoWを採用している暗号資産はセルフィッシュマイニング(*8)及び51%攻撃を受けた。同じコンセンサスアルゴリズムを採用しているにも関わらず、攻撃の影響を受ける暗号資産と攻撃の影響を受けない暗号資産とで何が違うのだろうか。

*8 https://arxiv.org/pdf/1311.0243.pdf

いくつか要因はあるものの、1つは「ブロックタイム」である。Bitcoinのブロックタイムは何度も説明するように10分でMonaCoinは90秒である。悪意のあるマイナーは、MonaCoinの高速なブロックタイムを利用してブロードキャスト(ネットワークに知らせない)をしない分岐チェーンを密かに作成した。そのチェーンをあるタイミングでブロードキャストをすることで、ブロックチェーンの再編成(reorg)が起こりで取引所は多大な損害を受けた(詳細は割愛)。Bitcoinが1ブロック生成している間に、MonaCoinは6.6ブロック生成することができ、ブロック生成のスピードに対してそれを確定するファイナリティに問題があったと言える。つまり、Bitcoinのブロックタイムとファイナリティはセキュリティを考慮したものであることが分かる。

もう1つは、「ハッシュレート」である。それによって攻撃を受けたのがBitcoin Goldである。ハッシュレートはNiceHash等の売買サイトで買い集めることができ、Bitcoin GoldのハッシュレートはBitcoinと比較して極端に安価で51%の可能性を高めた。上述したように、Bitcoinネットワークへの攻撃コストは1時間あたり49,603,778 円必要なのに対して、Bitcoin Goldネットワークへの攻撃コストは1時間あたり149,565.44 円とかなり安価なコストで攻撃が可能であることが分かる。つまり、ネットワークに対する攻撃で得られるインセンティブがコストを上回り、攻撃こそが合理的であったことがわかる。

このように同じPoWコンセンサスアルゴリズムを採用していても、ネットワークの堅牢性は全く異なり、その堅牢性を維持しているものはBitcoinネットワークそのものであり、その要素の何がかけても脆弱性への可能性が高まってしまう。BitcoinからハードフォークしたBitcoin Goldの結果がそれを物語っている。

維持コスト

PoWコンセンサスアルゴリズムの維持コストはマイニングに従事するために必要なイニシャルコストとランニングコストに分けられる。但し、マインイングプールへの参加は例外とする。イニシャルコストとは、マイニングハードウェア(ASIC・GPU・その他関連部品)のことを言い。ランニングコストとは、電気料金、人件費、その他のことを言う。

マイニングに関する詳細な内容は割愛する。この記事で重要視したいのはマイニング従事者の損益分岐点である。なぜこれが重要かと言うと、損益分岐点を下回るとマイニング従事者は撤退し、上述した分布図が集権化していく可能性と攻撃コストの低下による負のインセンティブが生まれるからだ。

実際のマイニンングの損益分岐点はどれくらいなのだろうか?

BITMAIN社のAntminerS15という最新のマイニング機器を使えば、今日現在の採掘難易度で約3070 ドルとなる。日本円に換算すると342,450.82 。だが、従来からの主流機器はBITMAIN社AntminerS9であり、この機器を利用している層の損益分岐点は約5080 ドル。日本円換算では約566,635,90 円である。このデータはBitcoinの損益分岐点として参考までに心に止めておいてほしい。

補足:上記データは最新のものではない為、より詳しい方がいればコメントを頂きたい。

流通設計

ディストリビューション概要

BTCはICO(トークンセール及びプライベートセール)は行われていない為、その他の暗号資産と比較してネットワーク参加者に公平に分配されている。また、今後の流通方法は中央管理者は存在しない為、エアドロップによる配布等はなくブロック生成によるブロックリワードによって市場に流出する。

市場に流出する枚数は、2019年4月30日現在は10分に12.5 BTC。1時間に75 BTC。1日に1,800枚である。これはマイニング従事者のウォレットに送られ、コストの支払いに当てられる為、基本的には売り圧となる。つまり1日に1,056,750,192 円の売り圧が発生していることになる(2019年4月30日のBTC価格参照)。

具体的な保有者

具体的な保有者はリッチリスト(*9)にて確認可能。

*9 https://bitinfocharts.com/top-100-richest-bitcoin-addresses.html

所望の性質

ICO(トークンセール及びプライベートセール)を行わず、誰でも参加できるマイニングのみでBTCが流通する為、公平な分配を所望している。よってプレマインもなく、結果的に分散されたネットワークになっている。

 

 

 

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今井 涼二

今井 涼二

CoinPicks Admin // CoinPicks Lab Admin // CoinPost専属ライター

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