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マイニングの規模縮小と撤退によって送金遅延と事業者の集権化は起きるのか

マイニング事業者の規模縮小と撤退によって送金遅延とマイニング事業者の集権化という懸念がありました。しかし、ハッシュレートやハッシュレート分布やMempoolを分析することでビットコインの送金遅延やマイニング事業者の集権化に関して問題がないことがわかりました。懸念に対する結論の証明については記事をご覧下さい。


ビットコインの送金遅延とマイニング事業の集権化を紐解く

Q最近、大手のマイニング事業者の撤退報道がとても増えていますが、ビットコインは継続できるのでしょうか?

CoinPicksの質問箱にて上記のような質問をいただきました。

そして下記のように回答させて頂きました。

Aお世話になっております。結論から申し上げますと問題ありません。マイニング事業者が撤退するということは、PoWの性質上ブロックが承認されにくくなる可能性。つまり、送金が思うようにできなくなるのではないかと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、ハッシュレートとその分布、そしてMempool(待機ブロック)を見て頂くと、送金遅延に関しては「問題がない」ということを理解頂けます。ビットコインのハッシュレートはこちらをご覧下さい。ハッシュレートの分布はこちらをご覧下さい。Mempoolはこちらをご覧下さい

ということで詳細を記事に致します。

 

ビットコイン価格とマイニングの損益分岐点

現状仮想通貨市場は低迷期でビットコイン価格は2018年のピーク時から約73%近く下落しています。

ビットコインの価格が下がればビットコインのマイニングをしている事業者の損益分岐点も変化します。これはビットコインのブロックリワード(ブロック報酬)からイニシャルコスト(初期費用)とランニングコスト(電気代・人件費)を差し引くことで算出することができます。

実際のマイニンングの損益分岐点はどれくらいなのでしょうか?

BITMAIN社のAntminerS15という最新のマイニング機器を使えば、今日現在の採掘難易度で約3070ドルになるそうだ。日本円に換算すると343,840円。だが、従来からの主流機器はBITMAINAntminerS9であり、この機器を利用している層の損益分岐点は約5080ドル。日本円換算では約568,960円。@マナさんの記事引用

BITMAINといえばBTC.comとAntPoolというマイニングプールを運営しており、下記ハッシュ分布を見て頂くと全体の27.1%を占めています。そのBITMAINの損益分岐点を上記の通りと考えれば、ビットコインの価格下落の影響によってマイニング事業の縮小ということに納得がいきます。これだけの大手マイニング事業者が規模を縮小するということは個人によるセルフマイナーやその他のマイニングプールも規模を縮小せざるを得ないでしょう。

2019年1月 ハッシュ分布

ということは、

多くのマイニンング事業者が事業規模の縮小や撤退をすることで、ビットコインブロックの承認遅延やマイニング事業者の集権化問題が発生するのではないか?

というのが今回の質問になります。
結論から言います。

大手マイニング事業者が事業規模を縮小や撤退をしても現段階では送金遅延や集権化に関する問題はありません。

その根拠はなにか?

  • ハッシュレートから読み解く
  • ハッシュレート分布から読み解く
  • Mempoolから読み解く

以上3要素から説明していきたいと思います。

 

ハッシュレートから読み解く

ハッシュレートを確認することでどれだけの計算リソースが集まっているかを確認することができます。

ハッシュレートが高いということは、ASICやGPUというマイニング機器の計算能力が多く集まっていることを意味します。ハッシュレートが低いということはその逆を意味しています。

多くのマイニング事業者の規模縮小と撤退が相次いでいる今、ハッシュレートの状況はどうでしょうか。

2018年11月から12月にかけて下落していますが、ハッシュレートは再度増加傾向にあり問題はなさそうです。

下記画像はビットコインのブロックがどれくらいの時間で承認されているかを表しています(平均:約10分)。

2018年11月21日と29日を見てみると1ブロック承認するのに約16分程かかっています。この日付は上記2018年11月から12月のハッシュレートが急落している時期と重なります。

このように一時的なブロック承認遅延は生じたものの、その後は平均10分間隔のブロック承認時間を保っており、マイニング事業者が撤退したことで生じる送金遅延はないと捉えることができます。

そしてこれからもマイニング事業者の撤退が原因で継続的な送金遅延が発生する可能性は低いと考えています。

なぜかというと、合理的なマイニング事業者にとってブロックリワードやマイニング手数料というインセンティブがあるからです。

他のマイニング事業者が撤退することでハッシュレートが下がります。すると今度はDifficulty(マイニングの難易度)が下がります。Difficultyは約10分間隔でブロックが承認されるように動くマイニング調節プログラムです。これによってマイニング事業者がどれだけ撤退していこうと資金力のある一定数のマイニング事業者は多少の赤字でもマイニング事業を継続するインセンティブがあります。

しかし、一定数のマイニング事業者が残ることで懸念されるのがマイニング事業者の集権化です。実際に多くのマイニング事業者の規模縮小と撤退が相次いでいる今、どれだけのマイニング事業者がどれだけのリソースを投入しているのでしょうか。

 

ハッシュレート分布から読み解く

ハッシュレートはマイニング事業者による計算リソースの量を表しており、事業者の規模縮小と撤退が相次いでいる今でも、ハッシュレートは問題のない値を推移しておりブロック承認時間に遅延がないことがわかりました。しかし、ビットコイン価格が損益分岐点を下回ることで、マイニングを事業として継続することができる事業者に偏りが生まれ集権化に繋がるのでないかという懸念がありました。

まずは4枚の画像をご覧ください。

↓2017年9月 ハッシュ分布

↓2018年5月 ハッシュ分布

↓2018年9月 ハッシュ分布

↓2019年1月 ハッシュ分布

データの時間軸が2017年9月、2018年5月、2018年9月、2019年1月というのに意味はなく、私の持っているデータでの検証となることをご了承ください。

上図4枚の分布は、全体を100%とした時にどこのマイニング事業者がどれだけの計算リソースを投入しているかを表しています。この4枚の分布から読み取っていただきたいのは、事業者の規模縮小と撤退が相次いでも事業者に偏りが生まれ集権化しているということです。

【訂正】 2019年1月17日:分布の中に存在しているUnknownは、その他を意味しており複数の団体の集まりです。つまり事業者の規模縮小と撤退が相次いでも事業者に偏りは生まれず集権化されていないということです。

ハッシュレートが右肩上がりであった2017年9月と、事業者撤退が相次いだ2019年1月のみを比較してみましょう。

2017年9月

上位4社の合計ハッシュレートだけですでに51.6%と集権化していたことが分かります。

2019年1月

その他を意味するUnknownが全体の20.7%を占めており、大きく分散化していることが分かります。注意点としてUnknownの内訳がわからないので、実際にどれだけ分散化しているかは分かりません。

 

Mempoolから読み解く

最後にMempoolを見てみましょう。

Mempoolとは、承認されるのを待っているトランザクションの数を表しています。

直感的に待機しているトランザクションが少ないことがわかります。

ビットコインは取引が行われると最初にMempoolに送られる仕組みです。その後マイニング事業者によってブロックに含まれて行きます。上図をもとにブロック承認遅延がないことを証明したいのですが、このグラフの生成タイミングは任意の時間帯での待機ブロック数を元に形成しているため、あくまで待機トランザクションが多いか少ないかを全体から俯瞰するしかありません。

では、別の視点から待機トランザクションによる送金遅延がほとんどないことを証明します。

Difficultyは10分間隔でブロック生成されるように調節されるため、証明は約10分間隔でブロックが生成されていると仮定します。

  • トランザクション数 / 1ブロックあたり:1,500〜2,500個(平均2000個とします)。
  • ブロック数 / 1日(10分に1度生成):144個

1ブロックあたりのトランザクション数(2,000個)と1日に生成されるブロック数(144個)を乗算すると、1日に処理できるトランザクションの数は288,000個となります。

下図は1日あたりのトランザクション数を表しており、2019年1月17日のトランザクション数は296,695個、その他の日でもだいたい300,000個以下ということが分かります。

つまり、約10分間隔でブロックが生成されており送金遅延がないことの証明になります。

 

まとめ

様々な図を用いて説明させていただいたのですがいかがでしたでしょうか?

マイニング事業者の規模縮小と撤退によって送金遅延とマイニング事業者の集権化という懸念がありました。まずハッシュレートやMempoolを分析することでビットコインの送金遅延がないことがわかりました。そしてハッシュレート分布を過去と比較することでマイニング事業者の集権化も起きていないことが分かりました。

これらからビットコインの送金遅延や事業者の集権化に関しては問題ないという結論となります。

今回のようにCoinPicksの質問箱にてご質問をいただけると、このように記事で詳細を説明しながら回答したいと思いますので、質問どしどしお待ちしています。

 

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今後も学習項目は増えていきます。

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今井 涼二

今井 涼二

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