インターネットの定義とEthereumの定義
インターネットの定義からEthereumの定義を考えるために、David Hoffmanの記事を一部和訳して提供させて頂きます。
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インターネットの定義とEthereumの定義
David Hoffmanの記事を一部和訳して提供させて頂きます。
資産としてのEthereumの定義
この記事では、Ethereumの資産としてのEtherの役割について説明します。
Ethereumは、代替的なインターネット・ベースの金融システムを構築するための基盤です。この新しい金融システムを運営するには対応した通貨が必要です。また、この新しい環境で金融アプリケーションを運用するには、信頼不要の担保が必要です。その担保がEthereumブロックチェーン上のEtherです。
その結果、Etherは新しい経済が求める要件を一度に満たす資産となりました。
Ethereumの定義
Etherを定義する前に、Ethereumを定義する必要があります。Ethereumを定義しようとする試みは、80年代のインターネットを定義するようなイメージです。オープンソース技術の素晴らしいところは、コミュニティがそのユースケースを構築し発見するにつれて、その技術の利用と応用が進化していくことです。
アプリケーションがインターネットを定義する
Googleでインターネットの定義について検索すると以下のような答えが返ってきます。
- グローバル・コンピュータ・ネットワーク
- 様々な情報通信設備の提供
- 相互接続されたネットワークによって構築
- 標準化された通信プロトコルの使用
個人的には、この定義は役に立ちません。技術的には正しいのですが、技術的なことを考えている人向けの定義です。もしあなたが「インターネットが人類にどのような影響を与えるのか」又は「インターネットとは何ですか?」という疑問の回答を見つけるには、実際にインターネット上で何をしているかを見せる必要があります。これによって次のことがわかります。
インターネットは様々なテクノロジーのスタックであり、アプリケーションが最上位スタックに位置します。「インターネット」は、スタックの一部だけでは構築することはできませんが、インターネットが私たちの生活大きな影響を与えているのはアプリケーション層です。アプリケーション層の下にあるすべての層は、製品とサービスを人々に提供するという目的のための手段といえます。
インターネットの背後にあるイノベーションは、データを安価に入手可能及び無限にコピーが可能であることでした。このイノベーションによって情報が世界に溢れました。しかし、安価で入手可能でコピー可能なものは、「お金」とは逆の価値であると言えます。お金の価値というのは、アクセスが困難で高価であるということです。
Bitcoinはインターネット上に希少性を生み出しました。BitcoinプロトコルはBitcoinに希少性のみを提供しました。
Ethereumは、通貨としての機能だけではなくデジタル上で希少性を構築する機能を提供しています。Ethereumのおかげで、プラットフォーム上のあらゆる資産をデジタル化することができるようになりました。ERC20規格である「トークン」は、デジタルの希少性を実現する印刷機のようなイメージです。その結果、Ethereumはインターネットの資産にとらわれないプラットフォームとなりました。
Ethereumは、インターネット上の新しいレイヤーとして存在します。その下の通信プロトコルを使用して、デジタルアセットの管理方法を定義する新しいネットワークを作成します。Ethereumは、インターネットのバリュー・レイヤーであるといえます。
Ethereumの定義は次のとおりです。
- Ethereumは、分散型アプリケーション向けのグローバルなオープン・ソース・プラットフォームです。
- Ethereumでは、デジタルアセットを制御し、プログラムどおりに実行し、世界中どこからでもアクセス可能なコードを作成できます。
インターネット上のアプリケーションは、「インターネットとは何か?」を定義しました。同様に、Ethereum上のアプリケーションはEthereumを定義します。
Ethereumのアプリケーション層
Ethereumのイノベーションは、インターネット上での新しいアプリケーション層の確立です。Web2のインターネットは、集中化されたデータベースと集中化されたデータのインターネットです。Facebook、Google、Amazon、及びその製品は、Web2を経て構築された大きなアプリケーションです。
Ethereumは代替手段を提供します。新しいアプリケーションを可能にする新しいレイヤー、アセットレイヤー、Web2のインターネットは飽和状態にあり、膨大な数のユーザーによって支配されていますが、Web3は潜在的な価値あるアプリケーションのランドスケープを提供します。
Ethereum上に構築されている金融アプリケーションは、市場に新たなランドスケープを提供し始めています。MakerDAOが主導し、DAIの確立が始まったことでパーミッションレスな金融ネットワークが拡大しました。「Open Finance on Ethereum」は、グローバルな価値決済プラットフォームとしてEthereumの確立を始めました。
Ethereumのオープンファイナンスの動きは、価値のインターネット全体に水平的に広がりをみせます。各アプリケーションは他のアプリケーションと組み合わせることができ、各アプリケーション間で無限の順列トランザクションを生成できます。Ethereumは平坦な世界ではないということです。金融システムと経済は本質的に階層化されておりEthereumも例外ではありません。
基盤となるブロックチェーンが最下層にあるため、Ethereumのアプリケーションは従来の金融システムに対応するように階層化されています。
お金は常にすべての金融システムの基盤です。世界のゴールドの90%は中央銀行によって保管されており、これらの中央銀行以下の金融商品やサービスはすべて、不換紙幣に追いやられています。
ここまでの話に納得するのであれば、Ethereumは以下のように定義します。
Stitching it Together
- Ethereumは価値のインターネットです。
- デジタル資産のためのインターネット固有のグローバル決済層
- パーミッションレスエコシステムを支える金融アプリケーションの全体像
Ethereumを定義する
ブロックチェーン(Ethereum)が提供する最大の柔軟性は、Etherが本当に何でもできることを意味します。このため、他の資産クラスを参考にEthereumを定義することは困難です。
Etherを資産として定義するには、資産クラスを理解する必要があります。
資産クラスの定義
Robert Greer氏のChris Burniskeという論文によって普及した「What is an Asset Class Anyways?」を提案します。
キャピタルアセット
- 生産的な資産
- 継続的に価値を生み出す
- 価値/金銭/キャッシュフローを生み出す
例えば、株式、債券、賃貸可能な不動産、タクシー会社などがあります。何らかの方法で所有者のキャッシュフローを可能にする資産です。
Transformable/Consumable Assets
- 1回の使用で消費/書き込みが可能です。
- 別のアセットに変換できます。
- 消費は経済的な利益を生み出す。
たとえば、金、石油、コモディディ(小麦、コーヒー)、エネルギーなどがあります。これらのタイプの資産は、経済的に有益な何らかの結果を生み出すために産業で一般的に使用されます。電子機器の金メッキ、車のガソリン、コーヒーマシンのコーヒー豆を考えてみてください。
Store of Value アセット
- 消費不可能
- 価値の保存性
- 希少価値
たとえば、金、通貨、不動産、芸術、Bitcoinなどが該当します。
これは最も単純な資産クラスですが、おそらく最も重要であるといえます。このような種類の資産は少なく、作成/複製/コピーが困難である必要があります。それらは世界中で普遍的に望まれていることです。これらは、資産の知覚価値に対するグローバルな信頼から利益を得る資産であるといえます。
「金銭的プレミアム」について議論する際に、私たちはSoVについて議論しています。
一部の資産が複数のカテゴリに分類されています。不動産は価値のあるもので、賃貸してキャッシュフローを生み出すこともできます。
同様に、金は電気信号を伝達する能力と減衰に対する耐性のため、工業製品において重要なコンポーネントです。また、これまでで最も優れた価値のある資産でもあります。
続きはPART2にて公開
Reference
https://thedefiant.substack.com/p/ether-is-the-best-model-for-money