ゲスト紹介
暗号通貨/ブロックチェーンの調査研究とアーカイブ
TokenLabはEthereumをはじめとするプロトコルレイヤーや暗号通貨/ブロックチェーンのインフラになり得るプロジェクトを専門に扱う会員制のリサーチ組織です。
こんにちわ。
CoinPicksの今井涼二です。
CRYPTO STORY – 私のリアル –
こちらのコーナーでは、仮想通貨に関わる「個人」に焦点をあてて、知られざるその真実と裏側、そして、それぞれのストーリーに隠された秘話など、毎回多彩なゲストをお招きして、メディアでは決して見ることのできない「リアル」をみなさんにお届けしたいとおもいます。
今回は、TokenLabの運営者「@indiv_0110 」さんをお招きして、暗号通貨以外の部分と暗号通貨の未来についてちょっとだけ深掘りしてみたいと思います。
界隈には知識人が多くいますが、それ以前の活躍や活動について知らない方も多くいるでしょう。indivさんもその1人として、私も半年以上のお付き合いがありますが、その真相は謎のまま…
また、暗号通貨の価格が低迷する反面、その価値の根底にあるプロトコル部分は日々大きく進化をしています。
暗号通貨は一体どのような未来に向かっているのでしょうか?
本日からその真相について迫ります。
indivという人物について
今井
indivさんよろしくお願い致します。早速ですが質問させて頂きます。
indivさんは今どこで何をされている方なのですか?
indiv
こんにちは。去年の秋頃にドイツに移ってきて、今は主にフリーランスとして暗号通貨関連の仕事をしています。仕事内容はレポート寄稿だったり、国内外のプロジェクトに対する役務提供(単発・長期)だったり、簡単な翻訳だったり、色々です。自分自身のビジネスとしてはTokenLabというリサーチコミュニティの運営を8月から始めていますが、こちらは利益を全部再投資しているので、収入源としてはまだ機能していないですね。
今井
なぜドイツに移住しようと思ったのですか?
indiv
過去に1年だけこちらの大学で勉強していたことがあり知り合いがそれなりにいたこと、ドイツ(というよりも自分が住んでいるわけではないベルリン)がヨーロッパにおける暗号通貨プロジェクトの中心地であること、自分の生活スタイルでは日本もドイツも生活費が変わらないこと、国境を超えて移動するハードルが日本に比べて地理的な意味で容易なこと、などが理由です。ただ「とりあえずここで生活してる」という感じで移住という認識はないです笑
今井
去年の秋頃にドイツに移住されたということは、それまでは日本でお仕事をされていたということですか?
また移住以前のお仕事もフリーランスとして活躍されていたのでしょうか?
indiv
いえ、それまではアフリカにいました。現地の日系企業でインターン的なことをやっていて、そこから直接ドイツに移動してきた流れです。アフリカでの職種は飛び込み営業とマーケティングでした。滞在期間は半年で、大したことはやってないです。
今井
役務提供をしている国内外の「プロジェクト」とその「役務」についてお聞きします。具体的な企業名やプロジェクト名の公表が難しいことは分かります。あえてカテゴリー分類するのであればどのようなジャンルへの役務提供が多いでしょうか?
また、どのような役務を提供していますでしょうか?
indiv
リサーチ系、dApps系、DEX/CEX系ですね。内容は調査だったり、翻訳だったり、日本に関連する業務全般だったり様々です。自分はエンジニアやデザイナーとして活動しているわけではないので、どうしても広く浅くという感じになりますね。
今井
アフリカのインターン経験後ドイツへ移動する中で、どのような過程で暗号通貨のフリーランスとして活動するようになったのでしょうか?
また、暗号通貨のお仕事をしていなかったとしたら、どのようなスキルを活かしてどのような職種でお仕事をしていたのでしょうか?
indiv
アフリカにいたときから趣味として暗号通貨関連の記事を寄稿していました。また、界隈が慢性的な人手不足になることは分かっていたので、仮に暗号通貨が盛り上がらなかったとしても今後2年間は生活するだけのお金くらいは稼げるだろうと判断して、ドイツに移動してから全時間を投下してみた感じです。
難しい質問です。過去や未来にあった/あるであろう岐路の反対側を想像するのは得意ではないので分からないですね笑
今井
フリーランスとして広く浅く暗号通貨関連のプロジェクトに携わっていくのには、それなりの時間と労力が必要だと感じています。日々情報のインプットとアウトプットの方法とコツを教えてください。
indiv
これも難しいですね。趣味ではなくマネタイズを前提にするなら「市場が大きくなること」、「需給が乖離し続けること」の2つを満たしてないと駄目で、去年の秋頃はEthereumがこの2つを満たしていました。今ならEOS, DFINITY, TezosあたりのPoS系のプラットフォームか秘匿技術系のプロジェクトでポジションを取ると思います。
インプットについてですが、「Don’t trust, verify」とか「Decentralized XXX」とか言っても、情報の取捨選択の99%は信頼できそうな人からの情報に依存しているので、やっぱり他人に批判的な目を向け続けて、おかしなところがあれば質問したり、フォローを外したりしつつも、環境を上手く使ってレバレッジを効かせることが大事ではないでしょうか。
こんなこと書いておいて無責任ですが、暗号通貨はプロジェクトやルールを作る側か金融資本や人的資本を投資する側に入らないと不利な世界なので、そもそも末永くこの世界で生き残りたいなら作る側に行ったり、フリーランスを諦めて組織として活動したりした方が実りがある気がします笑
今井
普通に筆者が気になってしまったので聞きます。
indivさんの1日のサイクルを教えてください。笑
indiv
リズムを変えると生産性が下がるので、平日ほぼ固定です。
8時~11時→インプット
11時~14時→ドイツ語勉強
14時~18時→アウトプット
18時~20時→休憩
20時~23時→読書or勉強
特に面白いものはないですね笑
暗号通貨に関する対談
今井
ここまでプライベートな質問を含んだご回答ありがとうございます。ここから暗号通貨に関する質問でindivさんの意見を聞かせて頂けたらと思います。
indivさんが一番注目しているプラットフォーム系のプロジェクト名を理由をお聞かせください。
indiv
やはりEthereumですね。開発者やコミュニティの層が厚く、汎用性や分散性を妥協せずに取り組んでいるから、というのがその理由です。
今井
プラットフォームとしてのポジョンを取るためにPoSやDPoS、PBFTやPoAなど様々なコンセンサス方法が乱立しています。それぞれのプロジェクトは所望の性質を得るためのコンセンサス設計をしていますよね。その中でPoSという選択はその他コンセンサス方法と比較して、どの部分で優位性があり、どの部分が劣っているのでしょうか?
indiv
ここは難しいのですが、まずシビルアタック対策のための施策なのか、コンセンサスを形成するための施策なのかを区別する必要があります。また、DPoSはPoSの一形態ですし、DPoS+BFTやPoW+PBFTのような形態もあるので、PoW, PoS, PoAくらいの分類で良いかと思います。
PoSの利点はエネルギー消費が少ない点と、ブロック生成者が所有している資源(=トークンの量)が常に明確である点ではないでしょうか。前者は明らかですよね。後者はPoWと比べると分かりますが、マイナーのハッシュレートはナンスの発見でもって初めて示されるので、全て過去のデータです。故に自身が保有する計算力を提示するにはナンスの探索をもって行い、100ブロック中20ブロックで採掘できたら、ハッシュレートの20%を所有しているとみなせる、という考え方ですよね。
マイナーのハッシュレートシェアは確認することができますが、これも過去のデータであって、実際のところどのマイナーがどれだけのハッシュレートを今持っているかはチェーンデータからは分かりません(神の視点で全てのマイニング機器とその所有者が分かれば計算できますが)。今のハッシュレートが分からないので、今のハッシュレートに応じて未来の権利を分配することができません(ZilliqaみたいにPoW→PBFTのサイクルは可能ですが)。
PoSはトークンがブロック採掘のための資源であり、その分布は明確です。故にブロック生成を行う権利を良くも悪くも設計段階で恣意的に決めることが出来ます。ブロック生成の権利の配布先を全ステイカーではなく、一部のステイカーや被投票者に与え、且つそれらのブロック生成候補者が満たすべき要件を設定しておけば、分散性やスループットを比較的自由に設定できます。
今井
プラットフォームとして初期はEthereumが注目され、スケーラビリティの観点からDPoSを採用しているEOSが1つ抜きん出ました。しかし、次なる期待はcosmosプラットフォームに移っていると感じます(主観的な感想)。
このように市場の変化は早く、よりユーザビリティへの意識が高まっています。最終的に数あるプラットフォーム系のプロジェクトは淘汰されていくのでしょうか?
それともそれぞれが別の路線で採用されていくのでしょうか?
考えをお聞かせください。
indiv
最近盛り上がってる証券トークンはパブリックブロックチェーン上に展開するのは難しいので、仮に実現したとしてもプライベートチェーンが使われるのではないでしょうか。
用途に応じたチェーンの選択の範囲が、全く別のチェーンになるのか、それともPlasmaのような最高裁判所たるメインチェーンに接続されたサイドチェーン的なものになるのかは分かりませんが、特定のメインチェーンだけが使われることはないと思います。
今井
Ethereumの今後のポジョンについてお聞きします。
EVMとしての汎用性やスループットを考えるとShardingの実装が急がれると考えています。しかし、実装には時間を要し、その間にEthemint上でのアプリケーション実装が主流隣、開発サイドもEthemintへの実装に切り替えられていくと考えます。Ethereumのポジョンは分散性に重きをおいたアプリケーションというポジョンしか残されていないのでしょうか?
indiv
短期的には分散性をそこまで必要としないアプリケーションはEOS等の他のチェーンに流れていくのではないでしょうか。そもそもdAppsにせよDAOにせよ、本当に分散している必要なアプリケーションってそんなにないので、開発が容易でコストが安いところに流れていくのは当然かと思います。その上で「分散性に重きをおいたアプリケーション」のポテンシャルは凄く大きいと思っていて、ビットコインがそうであるようにデータのやり取りを価値のやり取りにした点が暗号通貨の面白いところだと思うので、そのポジションを取れたらそれで十分だと思います。
大麻産業の優位性
今井
今回はindivさんのプライベートに対する質問と暗号通貨に関してちょっとだけ深掘りした質問をさせて頂きました。
本当にありがとうございます。私からの質問は以上になります。indivさんの方で何か一言ございますか?
indiv
こちらこそありがとうございました。
大麻の有用性、他の嗜好品(煙草)や医療品と比べた際の優位性について簡単に説明して頂けますか。自分は煙草もアルコールもほぼ駄目なので、大麻も無理そうですが、何やら盛り上がっているので概要は知っておきたいです笑
今井
質問ありがとうございます。
大麻の有用性について考える際には、植物体であるCBGAから大きく分けて「THC」と「CBD」の2種類の成分別に考える必要があります。(本当はCBCやCBGも存在します。)
THCは陶酔作用があり、いわゆる「ハイ」なる成分が含まれており、含有量によって規制と価格、陶酔性が異なります。メリットとして多幸感や痛みの緩和、吐き気を抑える、痙攣の抑制、食欲増進など多様な効果が実証されています。デメリットに関して言えば、アルコールを例にするとわかりやすいのですが、陶酔作用が高いものに関しては服用者自信の人間性を大きく変えてしまい、正常な判断ができなくなる可能性がある点です。
日本のマスメディアでは、大麻(THC)は「ダメ絶対」というのが常習化しており、陶酔性に関しての危険性がピックアップされています。しかし、蓋を開けてみると陶酔性に関して言えばアルコールと何ら変わりはなく、飲酒による事故や事件が多発している点を考慮すると、大麻(THC)=「ダメ絶対」という声にも疑問が出てきます。また、依存性に関しても大麻はアルコールやタバコよりも低いことが研究からわかっています。その上、副作用なく求めている効能を得ることができ点、カンナビノイド受容体に与える効果によって人間の健康面をサポートできる点で大きな優位性があることがわかります(むしろ、アルコールやタバコは体に害がありマイナスの側面しかない一方、THCは使用方法さえ気をつければプラスの側面しかない点を考えると比較にもならない優位性があると言えます)。
CBDは医療の側面で大きく注目を集めています。服用するメリットとして、不安の緩和、鎮痛作用、発作抑制、神経保護、免疫向上などなど様々な効果が期待されています。デメリットとしては私の知る限り「なし」で、THCが0.2%以下の陶酔性が非常に低いCBDは米国全土で合法化とされています。また、上述したカンナビノイド受容体をさらにサポートする効果も言及されており、本来はTHCやCBDを含め大麻全草を服用することで医療面で効果を発揮するとも研究者に言われています。CBDへの優位性は、何と言っても原因不明と言われていたアルツハイマー病やパーキンソン病などに対して症状を抑制する効果が期待されている点です。
少し長くなってしまいましたが、大麻(THC・CBD)を使用する側の優位性を考えただけでも、大きな差別化ができている点がわかります。他にもお伝えしたい点や大事なこともあるのですが、またの機会にお伝えすることができればと思います。
*THCやCBDのメリットデメリットに関して、人体への臨床結果はこれからのものが多く、記載した効果効能が立証されているわけではない点をご考慮ください。
indiv
なるほど、ありがとうございました。。
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