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仮想通貨の話題は、2017年のICOブームからハードフォークブームへ変わりました。
そして今、2018年は規制案の確立から国家発行のICOブームが待ち受けています。
今回は、順番に17ヶ国で予定されている国家通貨の概要を簡単にお伝えします。
ブームが来る前に、ある程度の知識は必要不可欠です。
オンラインサロンのレポートでは、各国の英文や論文など、日本のメディアではなかなか見ることのできない詳細内容を、私見たっぷりに配信します。
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▼第4回国家通貨の発行へ「エストニア編」
エストニアはEUに加盟するバルト3国の1国であり、首都はタリン、日本の九州地方よりも少し大きな国土に人口は134万人が暮らしています。
1,500 以上の島々からなり、その多様な地形には、岩場の多いビーチ、原生林、多くの湖などがあります。
また、報道の自由度ランキング上位国で、自由度を数値で見ると日本はエストニアの倍くらい報道の自由度が低いことになっています。
多くの人が知るようにコミュニケーションソフトのSkypeを生んだ国でもあります。
同国はデンマーク、スウェーデン、ロシアと様々な国からの侵略を受けて1918年にロシアより独立しました。
この背景があってか、近年「電子居住権」E-Residency (*1) という制度を実施しており、世界中の人間がエストニアの電子国民としての申請ができるようになっています。
今後もしエストニアという国がなくなっても、電子上で国家を再建するという試みです。
既に138カ国から2万件以上のE-Residencyの申請が行われており、1,600以上の新会社を設立しています。
そして、E-Residencyを通じて3,000社を超える企業を管理しています。
電子国民たちは、非移住者であっても会社の登記や公共サービスを受けることが可能である反面、EUの規定に従わなければならないことが多く、肝心の銀行口座がいつになっても開けない状態が続いています。
これでは、法人登記ができてもビジネスをスタートさせることはできませんね。
また、国内では安倍首相がエストニアの電子国民であることは、意外と有名なのではないでしょうか。
ちなみに筆者も申請を済ませ、電子国民となっています。
興味のある方はこちらから申請ができます。
https://e-resident.gov.ee/become-an-e-resident/
さらにエストニアでは最新の取り組みとして「デジタルノマドビザ」 (*2) という政策も検討されています。
デジタルノマドビザに関しては、こちらでは割愛したいと思います。
さて、本題はここからです。
エストニアが発行検討している「Estcoin」 (エストコイン) には、E-Residencyシステムが大きく関連しています。
Estcoinはまだ開発が始まっているわけではありませんが、「Estcoin」という概念を提起した「Kaspar Korjus」という人物がいます。
彼はエストニアのE-Residency (電子国民) 制度に携わっており、エストニアへのインバウンド投資の増加を目指しています。
Estcoinは、イニシャル・コイン・オファーリング(ICO)を通じてトークンセールを行い、ICOで集められた資金はE-Residencyのネットワークの開発費やメンテナンス費用などにも充てられます。
購入者はE-Residencyのプラットフォーム上でEstcoinの売買が可能で、提供するサービスなども受けられるようになるとのことです。
また、Estcoinはユーロにペッグさせてトークンを発行する案もあるが、ユーザーが保有するウォレットのEstcoinと同額のユーロをエストニアが担保する必要があり、デジタル通貨の利点が失われる可能性が懸念されています。
その場合、ユーローの電子通貨として扱われ、Estcoin独自の価値が見出しづらくなることが考えられます。
欧州中央銀行の (ECB) マリオ・ドラギ総裁は、Estcoinに関して下記のように反対しています。
「EU加盟国が独自の通貨を導入することはできません、ユーロ圏の通貨はユーロです。」
対して、Kaspar KorjusはEUの通貨はユーロであることは認めており、それを覆すことはないと明言しているが、Estcoinは「トークン」であると言い切り、ユーロとは別の立ち位置で独自の経済圏を築いていくことを述べています。
このように、EU内の規制や規則はあるもののエストニアは独自の国家仮想通貨発行に前向きであり、かつ国家通貨をE-Residencyという新たなプラットフォームを用いて、世界全体でコミュニティーを形成しようとしています。
国家通貨の発行を検討している国の中でもエストニアはかなり注目に値します。
さらに興味深い点が2点あります。
1:Estcoinは、韓国ソウル市で検討されているS-coinにも影響を与えていること。
2:Estcoin構想は1種類のコインではなく、3種類のコインとして検討されていること。
これら1と2に関しましては、オンラインサロンにて詳しく執筆しています。
*1 E-Residency:2014年にエストニア非移住者に対してIDを発行することで、オンライン上で起業できたり、法人税が0%になったり納税まで可能になります。
*2 デジタルノマドビザ:物理的に365日エストニアに滞在できるビザ